小林一三
①財界において一流の成功を収め、かつ、②人格者であり一流の経営哲学を示した人、というカテゴリーがあるように思う。
①だけなら、三菱の岩崎弥太郎
②だけなら、安岡正篤など。
①かつ②で、戦後というカテゴリーでいくと、松下幸之助が第一にくると思う。
松下は①も申し分ないが、②は日本国内においては一歩抜きん出ている。
明治期においては、渋沢栄一になるかと思う。国家全体を考える余裕と広い視野があった。
同時期の、安田善次郎は、精神力の逞しさはすごいが、経営哲学としては広がりに欠けるように思う。
岩崎弥太郎は、人格面では渋沢にはかなわないだろう。
大倉喜八郎(大成建設、帝国ホテル、ホテルオークラなどの創業)などは冒険好きでやんちゃな人だが、哲学的な部分はそれほど広がりはないように思う。
その中間期、戦前においては、阪急電鉄・百貨店、宝塚劇場、東宝などの創業者、小林一三が挙げられると思う。
彼の名言集のひとつに、「下足番を命じられたら、 日本一の下足番になってみろ。 そうしたら、 誰も君を下足番にしておかぬ。」というのがある。
もともと慶応を出て、作家になりたくてマスコミ志望だったが採用されず、うだうだしていたところ、友人の紹介で住友銀行に入ることになったが、出社する日になっても出社してこず・・・といった自由なタイプの人だったようだが、そういう人らしくない言葉ではある。
彼の想像力はすばらしく、柔軟なセンスで、大衆の需要や関心をよくつかんで自由に動き、ことごとく成功してきた。宝塚の劇作を自分で書いたりもした。
この言葉について、小林自身は、おそらく、自分自身がそうしてきた、というより、むしろ自分が人を使う側になったとき、教育する立場として、このことをつくづく感じたのだろうと思う。
ヴァリアントでは、この言葉をよく生徒に引用して紹介している。
ものごとにまっすぐ向き合う、直面する力が、なによりも基本となるはずなのだが、環境を責めたり、上司や部下のせいにしたり、自分の持ち場から逃げようとしたり、する人は多い。
そうなる理由のひとつは、「直面」というのが、どういうものなのか、きちんと教育されていないという状況にある。
ヴァリアントマネジメントカレッジでは、生徒さんには、直面の定義をきちんと理解してもらい、様々な実践を行い、直面を自分がどのように避けているのかのパターンに気づいてもらう。
そうすると、浮ついた思考ばかりしている人の態度も、落ち着いてきて、自然で穏やかになり、人間的な豊かさが回復されてくる。
そのようにして、正気で人間性豊かな、社会人、経営者を生み出していっている。
自分が正しいと信じていることを貫くことや信念は、肉体よりも、自分が生きるか死ぬかよりも重要です。
自分が正しいと信じていることを貫くことや信念は、肉体よりも、自分が生きるか死ぬかよりも重要です。
◆ヴァリアントマネジメントカレッジの個人の高潔さコースより
『自分自身に対する自分の高潔さは、自分の身体よりも重要である。』
高潔さ:自分が正しいと思っている事柄について、正直であり、強くある状態のこと
自分自身の本当の力を発揮するには?
・仲間を見捨てない。
・自己卑下しない。
・過去を後悔しない。
・好かれたり、褒められたりすることを求めない。
・自分自身の決断を選択する。
これらを守ることで人は、本来の力を発揮することができます。